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先日、世田谷経営者連合会の理事メンバーで、世田谷区社会福祉協議会(社協)を訪問してまいりました。 会員の皆様から集めた寄付・会費をお届けするとともに、社協の皆様とミーティングを行い、 地域福祉や子ども食堂の現状について直接お話を伺う貴重な機会となりました。 本報告書では、当日伺った内容を会員の皆様に共有いたします。

1. 視察概要

訪問先
社会福祉法人 世田谷区社会福祉協議会
所在地
〒157-0066 東京都世田谷区成城6-3-10(成城6丁目事務所棟)
訪問者
世田谷経営者連合会 理事メンバー
目的
会員から集めた寄付・会費のお届け/地域福祉・子ども食堂の現状ヒアリング
関連サイト
世田谷区社会福祉協議会
世田谷区社会福祉協議会 成城6丁目事務所棟の入口前に立つガヤ経理事メンバー
写真① 成城6丁目事務所棟(社協 成城地区事務局ほか)入口にて

2. 社会福祉協議会(社協)とは

社協は、地域の住民・地域資源、そして行政としっかりタッグを組み、福祉に関する幅広い事業を展開している組織です。 領域が多岐にわたるため「社協って何をしているの?」と問われることも多く、 昨年度は地域の暮らしに身近な存在であることを伝えるため、活動を「5分でわかる」形で紹介する資料を作成されました。

世田谷区社協は職員約200名を擁し、成年後見センター、生活困窮者のプラットフォーム、子育て支援のファミリー・サポート・センターなど、 区からの委託による個別支援事業を主な収入源としています。介護保険制度ができた際にもあえて施設運営には着手せず、 「地域づくり」という独自の役割を大切にし続けてきた点が大きな特徴です。

社協の活動を「5分でわかる」形で紹介するリーフレット「あなたの暮らしに身近な社協です」
社協の活動を紹介するリーフレット(世田谷区社会福祉協議会 提供資料)

3. 子ども食堂の取り組み

10年で4団体から約100団体へ

地域事業係が区内の子ども食堂を統括しています。平成27年(2015年)9月に社協が支援を始めた当初は区内にわずか4団体でしたが、 この10年で約96団体まで増加。昨年1年間だけで16団体増え、今月さらに2団体が開設予定で、まもなく100団体に届く勢いです。 これは東京都内で最も多い数とのことです。

区内の子ども食堂を地域別に示したマップ「せたがや子ども食堂情報」
「せたがや子ども食堂情報」マップ(世田谷区社会福祉協議会 提供資料)
社協 会議室で子ども食堂マップを前に説明を受けるガヤ経理事メンバーと社協職員
写真② 子ども食堂マップを前に説明を受ける様子(社協 会議室にて)

なぜ世田谷区が一番多いのか

他区では「ネットワークへの加入」や「目的の統一」を条件とすることが多いのに対し、世田谷区はそうした縛りを設けていません。 各団体が自由に取り組める一方で、責任は各団体が持つという仕組みです。 横のつながりは、年1回の連絡会と、地域ごとの研修会によって育まれています。 この自由度の高さが、団体が無理なく発展していける土壌になっています。

社協による支援 ―― 全国唯一の「保険」

社協は子ども食堂に対し、次のような多面的な支援を行っています。

  • 活動場所の確保や、人手が足りない際のボランティア(地域のサポーター)の紹介
  • 会計が苦手な団体への会計サポート
  • 食材費などにあてる助成金の交付
  • 活動にあたっての保険を無償で付与(往復途上のけが、賠償責任、買い物中の事故など)

とりわけ「活動保険を社協が無償で用意している」のは全国でも世田谷区だけ。 子どもの行き帰りや、スタッフの安全、物品の破損など、各団体だけでは賄いきれないリスクをカバーします。 この保険があるからこそ「始めやすい」のだと、現場から高く評価されています。財源は皆様からの寄付などです。

4. 子ども食堂の「実態」

子ども食堂というと「貧困対策」のイメージが強くありますが、世田谷区の現場はより多様でした。 母子家庭や、家族そろって食事をとるタイミングがない家庭の親子が一緒に訪れるなど、「親子で来られる」点が特徴的です。 お母さんの心が救われる場、子どもにとって本当の意味で人と触れ合える場として機能しており、 スタッフが親子のSOSに気づき、社協を通じて行政につなぐ入口にもなっています。

地域ごとの特色

  • 烏山地域:区内でも家賃が比較的安く、5〜7人きょうだいの多子世帯やひとり親家庭が多く暮らす。 1回で10人ほどの子どもが訪れる団体も。
  • 多摩川地域:タワーマンションなどで、ご主人が長期出張中の「ワンオペ」家庭も。 1週間誰とも話さないというお母さんが交流を求めて来ることも。長期休み明けには給食がない影響で痩せて来る子もいる。

支える人々

ボランティアには、孫を見るような感覚で子どもの笑顔を楽しみにする年配の方々のほか、 ボランティア精神で参加する女子高校生の姿も。高校生はコンスタントに通い、小学生にとって身近な存在として、 年配スタッフと子どもの間を橋渡しします。ハンバーグをハート型にするなどのアイデアを出し合い、 世代を越えて学び合う場にもなっています。 視察メンバーからは「皆さんがキラキラしていて、楽しそうな一体感を感じた」との声がありました。

5. 財源と「物価高」という課題

子ども食堂への助成は、東京都と世田谷区が半々で負担する補助金が最も大きく、 これに社協が皆様からの寄付を原資とする食材費向けの助成金を加えています。 現在およそ60団体前後がこの助成金を申請中です。 とはいえ細部までは賄いきれず、各団体が自己資金や代表者の持ち出しで補っているのが実情です。

いま現場を最も悩ませているのが物価高です。「お弁当を買った方が安い」のが本当のところでも、 温かい手作りの食事を提供したいという思いから、各団体は工夫を重ねています。 米価は少し落ち着いたものの、ソースや野菜などほぼ全てが値上がりし、「今年はどうしよう」という声が上がっています。

子ども食堂のほとんどは現在無料で、子どもは無料で食べに来られます。 なお、地域に多数ある高齢者の居場所「ふれあい・いきいきサロン」 (孤立防止が目的、区内に50〜60か所規模)も、参加費100〜200円に対し1回数百円程度の助成にとどまり、 会場費・光熱費の値上がりが負担となっています。

6. コロナ禍で示された底力

コロナ禍ではサロンの多くが休止・縮小する中、子ども食堂は唯一増え続けました。 臨時休校で給食が止まり、昼食を求める声が殺到した際、区はわずか2週間ほどで公共施設での子ども食堂開催を認める判断を下し、 これは都内でも最も早い対応だったと見られます。 手袋やマスクは企業や全国からの支援で集め、活動を継続。 全国では一度閉じてしまった子ども食堂も少なくない中、世田谷区の支援体制の厚さが際立ちました。

こうした底力の背景には、社協がもともと「サロンづくり(居場所づくり)」から地域福祉に取り組み、 保険をはじめとするノウハウを積み上げてきたことがあります。

7. 私たち経営者連合会にできること

社協最大の課題は財源です。収益事業は自動販売機の設置くらいに限られるため、 寄付や社協会費といった「地域を応援したい」という思いを形にする仕組みを広げることが求められています。 世田谷経営者連合会は、会社の所在地は他区でも、メンバーの多くが世田谷区に住んでおり、 自分たちの地域に貢献したいという思いが根底にあります。継続的な協力の形を考えていきたいところです。

協力の選択肢

  • 寄付:社協を通じて、区内全域の子ども食堂への助成金として活用される。
  • 食材・お菓子の提供:子どもたちが特に喜ぶお菓子など。 「セタベル」(食の専門サイト。子どもたちが競りのように選べる仕組み)を通じた物品購入での協力も可能。
  • 会計ボランティアの紹介:地域の運営者は会計が負担になりがち。簡単な会計を手伝える方がいればぜひ紹介を。
  • 勉強会・説明会:希望すれば社協がパワーポイントや現場写真を使って活動を紹介に来てくれる。
  • 福祉体験イベント:車椅子・視覚障害・高齢者疑似体験(装具で80歳を体験)などのメニューがあり、 メンバーやご家族で体験できる交流企画として相談可能。会場は上馬や区・社協の施設を夕方などに借りられる。

寄付の手続きについて

領収書の発行や区内全域への公平な配分の観点から、寄付は現金ではなく、社協への振込が推奨されています。 社協に入れたうえで、区内全域の子ども食堂への助成金として交付される形です。10万円の寄付予定です。

成城6丁目事務所棟の建物外観と入口看板を指差すガヤ経理事メンバー
写真④ 成城6丁目事務所棟 外観

8. まとめ

今回の訪問を通じて、子ども食堂が単なる貧困対策にとどまらず、孤立を防ぎ、世代を越えて人と人がつながる「地域の居場所」であること、 そしてそれを支える世田谷区社協の支援体制が全国でも有数のものであることを学びました。 一方で、物価高や財源確保といった切実な課題も伺いました。

私たち世田谷経営者連合会としても、寄付や物品提供、福祉体験を通じた交流など、 継続的にできることを会員の皆様と一緒に考えていければと思います。ご関心のある方は、ぜひ事務局までお声がけください。